MiToのエンジン MultiAirについて調べてみた

前回Anyca(エニカ)でお借りたアルファロメオMiToのエンジンが運転しやすかったので、
ターボラグが感じられず、NAの様に運転がしやすかったので、エンジンについて調べてみました。

お借りしたMiToについてはリンク先をご覧ください。

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エンジンの仕様

フィアットグループのFPT(フィアット・パワートレーン・テクノロジー社)の加給ダウンサイジングエンジンで、
フィアット、アルファロメオ、ランチアで使用されているエンジンです。
ターボの呼称は、各ブランドで異なります。
・フィアット、ランチア:Turbojet
・アルファロメオ:TB(Turbo Benzine)

エンジン形式940A2
形式直列4気筒SOHC
ボア×ストローク

72×84mm

圧縮比9.8
最高出力125kW/5500rpm
最大トルク250Nm/2500rpm
加給ターボチャージャー

エンジンの特徴

このエンジンの最大の特徴が吸気バルブの制御です。
SOHCなのでシンプルな構造のエンジンと思いきや、非常に複雑な構造です。
ホンダのVTECや三菱のMIVECなど各社バルブの制御に特徴がありますが、このエンジンは、
・バルブの開閉タイミングの変更
・バルブリフト量の変更
・バルブの早閉じ
・バルブの2度開け
が可能です。特に最後の2つはこのエンジンのみ可能です。

吸気バルブを制御する理由

ガソリンエンジンの場合、空気と燃料の理想的な割合が決まっています。
低速時の場合、燃料の量を減らします。
そうすると、空気の量も減らす必要があるため、スロットルバルブを絞る必要があります。
スロットルバルブを絞ると抵抗(ポンピングロス)が増えるため、燃焼室に空気を取り込む効率(充填効率)が悪くなります。
ターボエンジンの場合、低速時は加給が少ない上、充填効率の悪化は致命的になります。

そこで、低速時に吸気バルブを
・バルブが開くタイミングを遅らせる
・バルブのリフト量を小さくする
・バルブを早く閉じる
  ことで、吸気流量を減らすことができます。
こうすることで、スロットルバルブを絞らなくても、空気の量を減らすことができます。

さらに、通常はピストンが下がり始めてからバルブを開きますが、
ピストンがある程度下がった状態でバルブを開くと、燃焼室は負圧になているため、
効率よく空気を吸うことができます。

おそらくこの構造のおかげで、低速時のトルク低下が抑えられ、
ターボラグを感じにくくさせ、NAのように運転しやすくするのに一役買っていると思われます。

バルブ制御の構造

 通常バルブは、カムシャフトが直接もしくはロッカーアームを介してバルブを押し下げます。
しかしMultiAirの吸気バルブは、排気側のカムシャフトが油圧ポンプを押し、
油圧で吸気バルブを押し下げます。

FIAT社が動画を公開しいますので、構造が確認できます。(おそらくイタリア語ですが)

参考資料

参考にした書籍です。
より詳しく書かれていますので、興味のある方は是非読んでみてください。

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