前回Anyca(エニカ)でお借りたアルファロメオMiToのエンジンが運転しやすかったので、
ターボラグが感じられず、NAの様に運転がしやすかったので、エンジンについて調べてみました。
お借りしたMiToについてはリンク先をご覧ください。
個人間でクルマをシェアできるサービスAnycaを利用して、今回アルファロメオのMiToを借りてみました。どんなクルマお借りしたのは、2013年製のクアドリフォリオヴェルデと言う1.4MultiairTB1[…]
エンジンの仕様
フィアットグループのFPT(フィアット・パワートレーン・テクノロジー社)の加給ダウンサイジングエンジンで、
フィアット、アルファロメオ、ランチアで使用されているエンジンです。
ターボの呼称は、各ブランドで異なります。
・フィアット、ランチア:Turbojet
・アルファロメオ:TB(Turbo Benzine)
エンジン形式 | 940A2 |
形式 | 直列4気筒SOHC |
ボア×ストローク | 72×84mm |
圧縮比 | 9.8 |
最高出力 | 125kW/5500rpm |
最大トルク | 250Nm/2500rpm |
加給 | ターボチャージャー |
エンジンの特徴
このエンジンの最大の特徴が吸気バルブの制御です。
SOHCなのでシンプルな構造のエンジンと思いきや、非常に複雑な構造です。
ホンダのVTECや三菱のMIVECなど各社バルブの制御に特徴がありますが、このエンジンは、
・バルブの開閉タイミングの変更
・バルブリフト量の変更
・バルブの早閉じ
・バルブの2度開け
が可能です。特に最後の2つはこのエンジンのみ可能です。
吸気バルブを制御する理由
ガソリンエンジンの場合、空気と燃料の理想的な割合が決まっています。
低速時の場合、燃料の量を減らします。
そうすると、空気の量も減らす必要があるため、スロットルバルブを絞る必要があります。
スロットルバルブを絞ると抵抗(ポンピングロス)が増えるため、燃焼室に空気を取り込む効率(充填効率)が悪くなります。
ターボエンジンの場合、低速時は加給が少ない上、充填効率の悪化は致命的になります。
そこで、低速時に吸気バルブを
・バルブが開くタイミングを遅らせる
・バルブのリフト量を小さくする
・バルブを早く閉じる
ことで、吸気流量を減らすことができます。
こうすることで、スロットルバルブを絞らなくても、空気の量を減らすことができます。
さらに、通常はピストンが下がり始めてからバルブを開きますが、
ピストンがある程度下がった状態でバルブを開くと、燃焼室は負圧になているため、
効率よく空気を吸うことができます。
おそらくこの構造のおかげで、低速時のトルク低下が抑えられ、
ターボラグを感じにくくさせ、NAのように運転しやすくするのに一役買っていると思われます。
バルブ制御の構造
通常バルブは、カムシャフトが直接もしくはロッカーアームを介してバルブを押し下げます。
しかしMultiAirの吸気バルブは、排気側のカムシャフトが油圧ポンプを押し、
油圧で吸気バルブを押し下げます。
FIAT社が動画を公開しいますので、構造が確認できます。(おそらくイタリア語ですが)
参考資料
参考にした書籍です。
より詳しく書かれていますので、興味のある方は是非読んでみてください。